税理士の現場ブログ
相続手続きの進め方|相続発生から遺産整理までの流れを税理士が解説します
はじめまして、新潟相続のとびらを主宰する税理士の八百板といいます。このページをご覧の皆さんは、相続について何らかのお悩みや不安をお持ちだと思います。
そこで今回は、相続を進める上で知っておきたい手続きの流れについて、過去の経験や事例を交えながら解説します。
相続手続きの流れ
相続が発生した際の手続きは、主に次の5ステップで行います。
- 戸籍収集
- 法定相続人の確定
- 遺言の有無の確認
- 遺産分割協議
- 遺産整理
遺言の有無や相続税が発生するかどうかによって手続きは異なりますが、大枠の流れは上記の通りです。
ここからは各工程について解説していきます。
工程1:相続人調査は戸籍収集から
相続で一番初めにすることは、相続人の確定です。法定相続人の確定は、被相続人の戸籍収集から始まります。
そもそも「法定相続人」とは、民法で定められた被相続人の財産を相続できる人のことを指し、配偶者や血族がそれに当たります。
入手すべき戸籍は次の通りです。
- 被相続人(亡くなった方)の生まれてから死亡までの戸籍
- 法定相続人全員の現在戸籍
法定相続人を確定するためには、被相続人の配偶者や血族を把握する必要があります。そのため、相続手続きの最初の一歩は1)の戸籍収集となります。私の亡き父は、出生の戸籍が東京都(当時は東京市)だったのですが、それまで全く聞かされていなかったため、まさかの想定外。相続手続きのため、大田区役所に父親の除籍謄本を郵送請求することになりました。
たとえば、あなたの父があなたと同じ市町村で生まれて亡くなったケースでは、市町村役場の戸籍窓口で次の書類をご請求ください。
- あなたの現在戸籍
- あなたの印鑑証明
- 父親の出生から死亡までの戸籍
- 父親の住民票除票 (2通/登記用・年金手続き用)
戸籍を受領する際に、法定相続人数を尋ねて教えてもらうことがポイントです。
さて、法定相続人があなたともう一人の兄弟と確定したら、他の兄弟に下記の収集をお願いしましょう。
- 兄弟の現在戸籍
- 印鑑証明書
なお、被相続人があなたの兄弟姉妹、もしくは、叔父や叔母のケースでは、戸籍収集のレベルが格段に上がります。
このケースは、被相続人に子供がなく、両親が亡くなっていることを戸籍で確認できないといけません。また、配偶者の有無・兄弟の生存・兄弟が死亡している場合には、その子の戸籍もそろえなければいけません。
相続の手続きには、住民票の除票・戸籍除籍謄本は必要不可欠です。しかし、被相続人が亡くなって最低一週間後でないと戸籍の除籍謄本はもらえません(役所の処理上)。
長くて一週間程度の葬儀特別休暇の中で市町村役場に足を運び、申請に行く時間を確保することは簡単なことではありません。郵送でも請求はできますが、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍を集めるには時間も手間もかかってしまいます。
忙しくてなかなか手が回らない、遠方に住んでいるという方は、税理士などの専門家に代理手続きを依頼することで、不安なく日常に戻れるでしょう。
工程2:法定相続人の確定
戸籍には、個人情報が多く記載されていませんか。たとえば、養子縁組の有無・離婚歴などは、他の親族であっても知られたくない情報なのではないでしょうか。相続の場合には、他の相続人でも皆さんの戸籍を請求すれば収集できてしまいます。
そこで不安解消策があります。解消策は【法定相続情報】制度の利用。法務局に一定の戸籍や住民票を提示(後で書類は返してもらえます)すれば、証明書を手数料無料で発行してもらえます。
戸籍がなくても法定相続情報だけで相続登記用や金融機関での遺産整理ができます。なお、法定相続情報はご自身で手続きができます。
法定相続情報の証明事項は、次の通りです。
- 被相続人の最後の住所・最後の本籍、出生日・死亡日
- 法定相続人の住所・出生日・続柄・氏名
上記のように、必要最低限の情報しか記載されません。
以前、私の相談例で法定相続情報を自分で申請して持参された方がいらっしゃいました。
ただ、相続税申告で被相続人関連の戸籍と法定相続人の戸籍の写しの提出が必要なため、税理士にだけは知られることになります。
そのため、最初から専門家に依頼する方がスムーズに進められ、賢い選択ともいえます。
工程3:遺言の有無の確認
戸籍を全て収集し、法定相続人が確定すると、次のステップとして被相続人の遺言の有無を確認します。
遺言がある場合は、その通りに遺産を分け合います。
一方、遺言がない場合は、法定相続人の間で遺産分割協議を行うことになります。
工程4:遺産分割協議
本来、遺産分割協議は、法定相続人が全員集まって話し合います。
主な遺産としては、次のような項目が一般的です。
- 預貯金
- 不動産(住宅・土地・収益物件)
- 生命保険
- 株・投資信託
ここで重要なのが、遺産分割の仕方によって相続税が変わるケースが多いということ。
相続税の税額控除には ①配偶者の税額軽減 ②未成年者控除 ③障害者控除 などがあります。
税額控除は遺産分割の内容で変わります。相続税の納税資金が足りない相続では、税額控除をできるだけ多く活用する遺産分割案が重要になってきます。ここで先見性のある遺産分割案を提示できるかは、税理士の腕の見せ所です。
遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所で調停することになります。
税理士は家庭裁判所での業務資格はありませんので、こうなった場合、私は弁護士を紹介します。ただ、不動産売却案件では、譲渡に伴う税負担についての参考意見を求められるため、対応しております。
工程5:遺産整理
被相続人が亡くなって、遺産分割の前に、金融機関を訪れる方は多いです。その際「相続届」をすると、手続きに必要な戸籍等の収集方法のパンフレットと「相続手続き依頼書」を渡されます。
「相続手続依頼書」とは、法定相続人が全員で署名・実印をし、この手続きでのトラブルがあっても金融機関に異議を申し立てないという書類となります。
「相続手続依頼書」を遺産分割協議前に交付を受ければ、遺産分割協議の後に、「相続手続依頼書」に署名・押印ができますね。ポイントは「相続手続依頼書」に全員で証明押印するかどうかです。
ただし、金融機関によっては、「相続手続依頼書」を遺産分割協議が済まないと渡してくれないケースもあります。
このように遺産整理は金融機関ごとに違い、戸惑うことの連続です。我々税理士・行政書士は仕事と割り切れますが、ご自身で手続きを行う場合は、臨機応変に対応しなければなりません。
遺産分割協議書の内容がまとまったら、その内容に則って各人が遺産整理を行うのですが、金融機関の窓口ではさまざまな書類の提出を求められたり、新規口座開設を求められたりという展開が予想されます。
慣れない手続きが多いため、私の経験上、遺産整理の半数近くは金融機関の同行を頼まれます。各金融機関の相続手続きを早くするコツは経験して身に付きます。
また、遺産整理は基本的に平日に行います。ご自身や他の相続人も多忙な場合は、遺産整理を代理で行ってほしいと頼まれることもあります。
まとめ|相続手続き・遺産整理は専門家におまかせを
今回は、相続について大まかな流れをご紹介しました。
遺産の手続きには、多種多様な書類が必要で、その請求先や請求方法も種類によって異なります。
「相続が初めてで、何から手をつけたらいいかわからない」
「被相続人の出生地がわからない」
「忙しくて、手続きに手が回らない」
そんな場合は、相続の専門家である税理士や行政書士を頼ってみるとスムーズに手続きを進められるのではないでしょうか。
私どもが運営している相続専門サービス「新潟相続のとびら」では、相続税の試算から遺産整理まで、経験豊富なスタッフが丁寧に対応しています。
初回相談は無料で行なっておりますので、新潟で相続のご相談がある方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
▶︎ご相談・お問い合わせはこちら(本番URLを反映)